倫理綱領研修において質問内容とその回答

この度は、「2023年度倫理綱領研修」にご参加いただきありがとうございました。
ふりかえりでご質問を賜りました内容について、顧問弁護士より回答を得ましたので、以下ご覧いただければと思います。
今後とも、当協会の活動にご尽力賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

【質問①】

受講生募集型講座では、数か月前から募集が始まり、講師にも早くから依頼があります。その日程は空けておくが、講座の最少催行人数に達しない場合、講座の催行が中止されています。この場合は、講師は、講座の実施に向けて準備をしているため、中止による時間的・経済的損失が発生し、講師にとっては不利益となりますが、講師に対する保証は明確にされていません。公益のために存在する組織において倫理的に、このような請負契約はどのように理解したらよいのでしょうか?

 

⇒回答

契約上で明確にする必要があると思います。

例)講座開始の●か月前までにキャンセルする場合には契約を白紙撤回できるものとし、費用は発生しない。

  • か月以降にキャンセルする場合にはキャンセル料として●円を支払う  など

 

【質問②】

倫理綱領は産業カウンセラー協会と業務委託契約関係で仕事をしているときも、そうでない時間でも、産業カウンセラーを名乗っている限り適用されるものと思っていましたが、今回少し混乱しました。
仕事をしているときはより一層遵守に努めるという理解でよいのでしょうか。

 

⇒回答

概ねそのように理解して頂いたらいいかと思います。

ただ、「業務外における言動が委託関係にどのような影響を及ぼすか」という非常に難しい問題がありまして、概要を申し上げると、社会的に受け入れられない言動をしたときには、契約を解約できる余地があるということになります。また、倫理綱領の中には、業務外で適用されることが前提となっている規定もあります。例えば、「カウンセラーがクライアントと私的関係を結ばない」などです。そういう規定に関しては業務外でも適用があるとお考えいただければと思います。

 

【質問③】

〈守秘義務について〉

仮にクライエントが事故等で亡くなられた時の守秘義務はどうなりますか?
警察から事情聴取などあった時は法的に開示しなければならない。など法的な事があれば教えて下さい。
また、上記等を契約書に明記する必要はありますか。

 

⇒回答

クライエントが亡くなられた場合には、本来的には守秘義務が継続するとお考えいただければよいかと思います。なぜなら、クライエントとの契約はクライエントの死亡により終了しますが、守秘義務については通常、「契約終了後でも守秘義務は継続する」という規定が入っているためです。また、警察などの事情聴取のほか、裁判所から証言を求められた場合など、守秘義務を免除する事情を契約で定めておくのが通常です。

 

 

 

 

【質問④】

カウンセリングの過程で、クライエントにサインさせるケースってありますか?
カウンセリングの開始前に、インフォームドコンセントで同意書みたいなのを書いてもらうのが最近の主流でしょうか?

 

⇒回答

同意書にサインしてもらうのが現在のスタンダードだと思います。
特に、個人情報保護がらみ(日誌の開示が可能とか、守秘義務の範囲など)は必須と思います。

 

【質問⑤】

安全配慮義務への協力と、カウンセラーとしての守秘義務の間に、悩むことが多い。
メンタル不調、ハラスメント行為等、開示が必要と思われる際は、クライアントに十分な説明をするよう心がけているが、なかなか同意が得られないこともありモヤモヤします。
何かコツでもあれば、ご教示いただきたいです。

 

⇒回答

私が気を付けているのは、「今これを話すことによって、あとで話がこじれない内容しか話さない」ということと、「相手は、こちらの意図をくむことをしないから、一言一句分かりやすい言葉で話す」ということです。
特にメンタル不調などがある方の場合は、ゆっくり話すということも心掛けています。

 

【質問⑥】

法令順守違反した場合について、および通告義務についての兼ね合いを教えていただきますと助かります。
よろしくお願いいたします。

 

⇒回答

法令遵守違反をした場合ですが、どのような法令に違反したかによるかと思います。
例えば刑法に違反していれば告発義務がある可能性がありますが、
それ以外の法律だと、まずは協会と相談するというケースもあるかと思います。
通告義務も同様で、ケースバイケースです。まずは協会に報告して協議するということになると思います。

 

【質問⑦】

第19条オンライン・カウセリング3、ここにおいてのクライエントの利益とリスクとは具体的にどういったことになるのでしょうか。
対面の場合とインフォームドコンセプトの相違はどんなところがあるのでしょうか。

 

⇒回答

まずはハッキングによりカウンセリングが外部に漏れる可能性があるということです。

例えば、クライエントが使うデバイス(携帯電話やパソコンなどの機材)のカメラがハッキングされていた場合だと、カウンセリングの状況が外部に漏れる可能性があります。また、クライエントがいる場所によっては、周りの人が見たり聞いたりしている可能性もあります。そういったクライエント側の状況によっては、対面ではあり得ない事情によって外部に買うセリングの内容が漏れる可能性があります。